義妹ジルの結婚式が
ジリジリと近づいて来た。

グラニーは顔を合わす度
「ああ、やる事が沢山ありすぎて
頭がおかしくなっちゃいそう!」
と愚痴を漏らす。

以前もんちゃんが
ぼそりとこぼした
「愛娘の結婚式で
グラニーの頭の中はお花畑」を
うっかりバラしたい
衝動に駆られる。

そんな中
グラニーから打診があった。

「披露宴のテーブルにちょっとした
プレゼント兼飾りを添えたいのよね。

女性人はお花でいいと思うんだけど
男性人はね・・・

そこで相談なんだけど
ホリー、折り紙で鶴を
作ってくれないかしら?」


お安い御用っす。


義姉であるにも関わらず
ジルのあらゆるパーティーに
ことごとく不参加通知を
出しまくっていた私が
これ以上
一体何を断われると言うのだ。


千羽であろうが
お任せ下さい
(腕まくり



「あら、頼もしいわ!
披露宴の参加者は
約70名だから
男性人はおよそ・・・
40名程かしら?」


余裕です。
さて、折り紙はどうしましょう?


「ジルが友人に頼んでるの!
1枚サンプルを貰っているから
ちょっと見てくれるかしら?」


ほほう
用意がいいですな。



そう言って
グラニーが差し出してきた
「タータン柄の折り紙」は
どちらかと言うと


画用紙だった。


無言で画用紙を見下ろす私に
いささか不安に駆られたのであろう
グラニーがそっと言葉を添えた。


「大丈夫よ、ホリー。
ちゃんと裏にも
プリントして貰うよう
頼んであるから!」



いや
ソコではない。



ああ、大丈夫ですよ。
裏面はこれと同じ無地で。


「ええ!?そうなの?
片面の柄で鶴が出来るの!?」


感嘆の声をあげるグラニーに
意気揚々とした私は
画用紙であろうと
ダンボールであろうと
キッチリ40羽折ってやろうと
心に誓った。






↑サンプルの画用紙で作った鶴



早速この鶴を持って
ジル宅へ向かったグラニーが
スグサマ我が家へと舞い戻って来た。

もしや
何か問題でもあったのか。

不安に駆られる私に
グラニーは言った。

「ちょっとホリー・・・
聞いてくれる?」

どうしました?
ジルは鶴を気に入っては
くれなかったのでしょうか?

「いやね・・・
私も初めはそう思ったの。
この鶴をマジマジと見詰めながら
ずーと黙っているから・・・・」

ほう、それでジルは?


「『お母さん。
私にはコレ
鳥にしか見えない』
ですって!」


鶴=Crane=重機



あり得ないぜ、ジル。





ちなみにグラニーは
この「鶴」を最近まで「白鳥」だと
勘違いしていたらしい。
(もんちゃん談)

13年間
結構な勢いで「折り鶴」を
配りまくっていたのだが
結局誰の記憶の中にも
留まっていなかったらしい。