家の裏手に広がる更地の隅に
一本の木がポツンと
植えられてあった。
 
誰かが捨てるには忍びないので
その更地の一角に植えたものと
思われる。



チハナはその木がとても好きで
毎日話しかけに行く。

 

「ベッキー」と
名付けて。



そんなある日
近所のおばさんに
教えてもらったらしい。




ベッキーちゃんが
クリスマスツリーであるという事を。



建設範囲が広がると
もうじき屈強な大工達に
切り倒されるであろう
ベッキーちゃん。
 
そんなベッキーちゃんは
なんとも魅惑的な
クリスマスツリー。

私の脳裏に「持ち去る」と言う
四文字が踊り狂う。


早速
木の近くに住むおじさん宅へ
交渉に向かった。





他人の物にまで
「太っ腹」なおじさんだった。
 
 
そんなおじさんは
わざわざショベルで
木の根を掘り返し
私に持たせてくれた。
 
ガッツリおじさんに甘え
お持ち帰りに成功。

この時の私は
「喜ぶチハナの笑顔」と
「小さな命を救った」という達成感で
得も言えぬ満足感で
満ち満ちていた。

そして
ダッダに事後報告。





↑ベッキーちゃん


 
 
ダッダの顔色が
一瞬で変わった。













なんてこったい。



そりゃおじさんも
気前良く差し出すわな(白目



↑未来予想図




↑もっとリアルな未来予想図




「今日はベッキーちゃんの
誕生日だよ」と
喜ぶチハナの為だ。
 
甘んじて大木を受け入れよう。