ホリー絵日記

英国はスコットランドの片田舎で「香ばしいまでに自由なスコットランド人夫」と「こじらせた日本語を巧みに操る年子の娘達」の言動を日々記録した絵日記ブログです

カテゴリ: ★絵本製作倶楽部★

チーとモー④◎バターカップのまき◎長い冬が終わり 待ちに待った春が訪れましたまるで 春の妖精が「ピーッ!春ですよ!」と 宣言したかのように 土の中から にょきにょきと スノードロップの芽が伸びてくる桜のつぼみが むくむくと 大きくなるそしてまもなく 野原 ...





チーとモー④

◎バターカップのまき◎

ホリー絵日記


長い冬が終わり 
待ちに待った春が訪れました

まるで 春の妖精が

「ピーッ!春ですよ!」

と 宣言したかのように 
土の中から にょきにょきと 
スノードロップの芽が伸びてくる

桜のつぼみが 
むくむくと 大きくなる

そしてまもなく 野原一面が
デイジーとバターカップで 
うめつくされる

いっぴきのミミズが 
大きなあくびをしながら
ぽこんと 土の中から 
顔を出しました

「ふわぁ・・いい天気だなぁ」

ミミズは太陽にむかって 
のびをしました

「ミミズさん こんにちは」

振り向くと 大きないきもの

「きゃっ」

ミミズは小さくさけんで 
土の中へと 逃げ込みました

「モー ミミズさんがいるの?」

どうやら その子の名前は 
モーというらしい

ミミズはおそるおそる 
顔を出しました

「うん さっきまでいたんだけど 
びっくりしたみたいで 
かくれちゃった」

残念そうにそういったモーは 
バターカップの茎をつなげて 
小さなリングをつくりました

「これ ミミズさんの かんむり
おどろかせちゃった おわびだよ」

「・・・ありがとう・・・」

ミミズは照れながら おずおずと 
黄色いかんむりを 受取りました

「あ ミミズさんだ!」

モーが そういうと

「ミミズさん でてきた?」

と となりにいた チーも 
ずいっと 土に顔を近づけました

「こんにちは ミミズさん
あたし チー こっちは モー」

ミミズは おおきな いきものを
かわるがわる みつめました

そして さいごに 
黄色いかんむりを みつめました

「ありがとうございます・・
すてきな かんむりですね」

はずかしがり屋のミミズは 
顔を赤らめながら 
それを頭に のせました


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「わー!ぴったり!」

と モー

「よく にあってるよ!」

と チー

するとミミズは 
もじもじしながら 
こういいました

「あ あの・・・ 
これのおれいに
すてきな おまじないを 
おしえてあげます」

「おまじない?」

チーとモーは 
顔をみあわせました

「え、ええ・・・
そのバターカップを
あごのしたに あてて
ねがいごとをすると 
ねがいがかなうんです」

「ほんとう?おもしろそう!」

ふたりは さっそく 
足元に 咲いている
バターカップを 
プチンと 摘み取ると
あごの下に かざしました

「つくしのこ でてこい!」

モーが そうさけぶと同時に 
ニョキ!

すると つぎから つぎへと 
つくしのこが あたり一面 
ニョキニョキニョキ!

「うわぁ、すごい!
つくしが いっぱい!」

チーとモーは おおはしゃぎ

「チーも なにか 
おまじないしてよ!」

「うん!じゃ、チーは 
ちょうちょに のりたい!」

すると 野原の向こうから 
白い大きな蝶が ふわ~り

「わぁ すごい!
これ ほんとうに のれるの?」

ミミズは
「だいじょうぶですよ」と 
にっこり

ふたりは おそるおそる 
蝶の背中に のりました

すると ふわ~り

「すごい!とんだ!」

風にゆられて 
ひらり ふわり ゆらり

チーとモーは はじめての 
空の散歩に でかけました

どこまでも続く 
緑色のじゅうたんに
色とりどりの 小さな花が
蝶といっしょに 
ゆらり ひらり

ふと モーがつぶやきます

「あれ?ミミズさんは?」

「たいへんだ!ミミズさん 
おいてきちゃった!」

チーとモーは いそいで 
もといた場所へと
舞い戻りました

ミミズは 少し さみしそうに
ふたりが飛んでいった
空をながめていました

「ミミズさーーん!」

チーがよびました

「ごめんね ミミズさん
おいてきぼりに しちゃったね
さぁ いっしょに のろう!」

モーが手を さしのべます

「で・・・でも 
ぼくは むりです・・・
からだが かわいちゃったら 
しんじゃうし・・・」

ミミズはそのまま シュンと
だまりこんで しまいました

すると モーは 
バターカップを 
あごの下にかざし

「ミミズさん!
ちょうちょに な~れ!」

すると ポン!

さきほどの ミミズは 
美しい黄色い蝶へと 早代わり

「これでいっしょに 
おそらの さんぽができるね」

モーは にっこり

チーも にっこり

恥ずかしがり屋の ミミズも
はじめての空に にっこり

ふんわり ふわふわ
ひらひら ひら~り

3人は 日が暮れるまで
空の散歩を楽しみました


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チーとモー③◎けんかのまき◎チーとモーが けんかを はじめましたママがやって来てききました「なにがあったの?」 モーがいいました「チーがたたいたの」チーがいいました 「モーがおしたの」 すると おむかいの おじさんとおばさんが やってきました 「どうしたの?」 そ ...





チーとモー③

◎けんかのまき◎

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チーとモーが
けんかを はじめました
ママがやって来てききました

「なにがあったの?」

モーがいいました
「チーがたたいたの」

チーがいいました
「モーがおしたの」

すると
おむかいの おじさんと
おばさんが やってきました
「どうしたの?」

その後から 
近所の子供たちが
やってきました
「どうした どうした?」 

みんなが
チーとモーをみています

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チーとモーは
恥ずかしくなって
逃げ出しました

走って走って
走っていくと

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ふたりは 大きな穴に 
落ちてしまいました

チーとモーの顔は 
どろだらけ
ふたりは思わず 
わらいだしました

「よし ふたりで がんばって 
あなから でようね」
と、チーがいいました

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穴の中から 
モーがチーを押し出して

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今度はチーがモーを 
ひっぱりあげます

$ホリー絵日記

「ありがとう チー」
「ありがとう モー」

ふたりは けんかのことを
すっかりわすれて
なかよく 家にかえりました





チーとモー②◎ゴールデン・ポットの巻き◎仲良し姉妹のチーとモーぽかぽか春の日差しの中お母さんからひまわりの種をもらいましたチーとモーは早速庭に出て太陽の光が良く当たる花壇の真ん中にそれを植えました「はやく芽でないかなぁ」と、チー「ちゃんと忘れずお水をあげ ...





チーとモー②

◎ゴールデン・ポットの巻き◎

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仲良し姉妹のチーとモー

ぽかぽか春の日差しの中
お母さんから
ひまわりの種をもらいました

チーとモーは早速庭に出て
太陽の光が良く当たる
花壇の真ん中にそれを植えました

「はやく芽でないかなぁ」

と、チー

「ちゃんと忘れず
お水をあげれば
すぐに芽は出てくるわよ」

と、お母さん

2人は毎日ひまわりに
お水をあげることを約束しました

でも、次の日は雨

「なぁんだ 雨ふっちゃった」

と、モー

「ひまわりさんに 
お水あげれないね」

と、チー

「それにお外にも 
あそびにいけないねぇ」

2人はつまらなそうに 
言いました

するとお母さんがふくれっつら

「あら、雨は大切なのよ?
雨が降らなきゃウサギさんだって
小鳥さんだって生きていけないし
木も草も花も全部枯れちゃうのよ」

お母さんがそう言うと 
2人は面白くなさそうに
ほっぺたを膨らませました

「そんなのわかってるよ
でも やっぱり 
雨がふると つまんないよ」

と、チーは口をとがらせました

「じゃ、お母さんが
いい事教えてあげる」

その言葉に
チーとモーは耳がぴくり

「雨が上がれば虹が出るわよね?
その虹が出ている出発点には
ゴールデン・ポットが
埋まっているのよ」

「ゴールデン・ポット!?」

2人は声をそろえて
繰り返しました

「そう、ゴールデン・ポット!

金(きん)のお宝が
たくさん詰まったツボが
埋まってるんだって」

「おたから!」

チーとモーは目を輝かせました

「はやく虹でないかなぁ」

「ゴールデン・ポット 
さがしにいきたいね」

2人はワクワクしながら
灰色の空を見上げます

すると 
雲の間から一筋の光
待ちに待った太陽が 
ひょっこり顔を出したのです

「虹だ!」

「なのはなばたけから 
虹がでてる!」

チーとモーは スコップを掴み 
長靴を履くと 大急ぎで 
玄関を飛び出しました

「ゴールデン・ポット 
さがしにいってくるね!」



「どこへ いそいではるの?」

羊牧場に差し掛かったところで
頭の上から誰かさんの声

見上げると 大きなツバメ
チーとモーは息を弾ませながら

「ゴールデン・ポット 
さがしに いくの!」

と 遠くの虹を指差しました

「ゴールデン・ポット?
それは面白そうやな。
ウチが連れてったるわ」

ツバメはそう言うと
2人に背中をさしだした

「でもって2人は無理やな。
1人ずつやで」

その言葉を聞いて
チーとモーはにらみ合い

「チーがのる!」

「モーがのる!」

と、ケンカを始めました

すると あらら?

虹はどんどん薄れ行き
とうとう跡形もなく
消えてしまいました

「ゴールデン・ポットは
また今度っちゅうことやな」

ツバメは面白くなさそうに
その場を飛び立って行きました


それからというもの
2人は毎日
雨が降るのを待ちました

「虹でないかなぁ?」

「ゴールデン・ポット 
さがしにいきたいね」

そして
3日が過ぎた頃
晴れているというのに
ぽつぽつと雨が降って来ました

「おてんき雨だ!」

「きつねのよめいりだ!」

2人は玄関に用意されたままの
スコップを握り締め
一目散に飛び出していきました

すると空には
大きな虹と小さな虹

「ダブル・レインボー!」

「はじめて みたね、モー」

「うん。すごく きれいだね」

「あ、ジェームスおじさんの 
ぼくじょうから虹がでてるよ」

「いそげ!」

2人は虹の出発点を
目指して走り出しました

しばらく行くと
目の前にポコポコとポニー

「そんなに急いでどこ行くのよ」

「ゴールデン・ポットを
さがしにいくの」

と、チー

「ほほう それは興味深いね
私も参加させておくれよ」

ポニーはそう言うと
2人を背中に乗せて走り出しました

パカパカと軽快な音が
辺り一面に響き渡ります

「ところでどっちに
行ったらいいんだい?
大きい虹の方?小さい虹の方?」

「おおきい虹!」とチー

「ちいさい虹!」とモー

2人はムッと顔をしかめ大喧嘩


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「おおきい虹のほうが 
おおきい おたからだもん」

「でも ちいさい虹のほうが
くっきりはっきりみえてるもん
ぜったい いっぱい おたからが
はいっているもん」

すると あらら

「お2人さん
もう喧嘩をする必要は
ないみたいですよ」

と、呆れ顔のポニー

そう またしても虹は
消え失せてしまいました

春のポカポカ陽気の中
がっかり顔のチーとモーは
窓辺で空を眺めていました

「また 雨ふるかなぁ?」

「虹 またでるかなぁ?」

「まぁまぁ2人とも
こんなにいい天気だというのに
おうちで雨乞い?
せっかく暖かくなってきたんだから
外で遊んできたらどう?
丘の上にスイセンがきれいに
咲いているわよ」

お母さんにうながされ
2人はしぶしぶ丘を登りに
行きました

黄色や白色のスイセンが
咲く丘のてっぺんまでは
もうすぐです

のろのろと歩くチーとモーを
追い越してミツバチたちが
あわただしく巣に帰っていきます

「どうしたんだろう?」

そう思った2人の上を
ゴゴゴゴゴと
低い音がとどろきます

見上げると
先程の穏かな青空とは
うってかわり灰色の重たい雲が
辺り一面をおおいつくしました

ぴかっ

青白い光が雲の間を駆け抜けました

「きゃ!カミナリ!」

チーは両手で耳をふさぎます

「こわいよぉ」

モーはあわてて 
おへそをかくします

「はやく にげなきゃ!」

2人は丘の上にたつ
大きなハルニレの木の下に
飛び込みました

その瞬間
大きな雨粒がハルニレの枝を
咲き誇る水仙を ミツバチの巣を
容赦なく叩きつけました

「すごい 雨だね」

「カミナリおちたり 
しないかなぁ」

モーはそう言って 
おへそを覗き込みました

どれくらいの時間が
経ったのでしょう

雨足が弱くなったと同時に 
灰色の雲の間から
まばゆいばかりの光が
差し込んできました

そして今までに見た
どんなそれよりも
美しい七色の虹が姿を現しました

2人は 息を飲みました

「モー 虹だよ・・・」

「すごくきれいな 虹だね」

しばらくの間 
2人はその虹に見とれ
丘の上で佇みました

次の瞬間 チーが

「あ!うちの庭!」

丘の下にある家を指差しました

「ほんとだ!うちの庭だ!」

モーもそれに気付き 
目を輝かせました

そう
その虹は チーとモーの住む家の
庭先から空高く伸び 
見事なアーチを作り出していたのです

「ゴールデン・ポットは 
ウチの庭だよ!」

2人は滑る様に 
丘を駆け降りていきました

息を弾ませながら 
チーとモーはゲートをくぐり 
裏庭へと急ぎます

目の前に飛び込んできたのは
沢山の 小さな 小さな 
双葉―――

2人が植えた ひまわりの種が
ひっそりと芽吹いていたのです

チーとモーは黙って
双葉を見詰めます

「そっか ひまわりさん 
芽をだしたんだね」

チーは嬉しそうに にっこり

「ゴールデン・ポットは 
ほりだせないね
ひまわりさん がんばってるもん」

モーも 思わずにっこり

「お水あげるの 
わすれてて ごめんね」

「あしたからは ちゃんと 
お水あげるからね」

「たくさん雨ふってよかったね」

2人は空を見上げます

そこには もう 
虹はないけれど
夏になれば 
こんじきに染まった見事な花を
見上げる事が 
出来るのでしょう



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◎ペン太くんとペン子ちゃん◎作 ホリー絵 モモカペンギン島の ペンキ屋 ペン太今日は 島の ペンションでベンチの ペンキを ぬる仕事ペンギン島の お花屋 ペン子今日は 島の ペンションにペンペン草を もってった「あ」ペン子は ペンチに つまづいてベンチの ...





◎ペン太くんとペン子ちゃん◎

ホリー絵日記

作 ホリー
絵 モモカ


ペンギン島の 
ペンキ屋 ペン太

今日は 
島の ペンションで
ベンチの ペンキを ぬる仕事

ペンギン島の 
お花屋 ペン子

今日は 
島の ペンションに
ペンペン草を もってった

「あ」

ペン子は ペンチに つまづいて
ベンチの前で
ぺたーんと こけた

ベントウ食べてた 
ペンキ屋 ペン太
びっくりぎょうてん とびはねた

ペンペン草に うもれてた
ペン子も あわてて とびあがる

「きゃーー たいへん!」

ペン子の だいじな ペンダント
ころんだはずみで なくなった

「どこ どこ どこ? 
ペンダント!」

「ここだよ ここだよ 
みつけたよ」

ペン太の ベントウ箱の中
ペン子の ペンダント 
はいってた

ペン子と ペン太は 
みつめあい ふたりで 
てけてけ わらったよ





◎さっちゃんとやえちゃん◎作 ホリー絵 アロさっちゃんは 庭にある「桜の木」が 大好きだった春には 可愛らしい ピンクの花が 枝を残すことなく 咲き誇り 夏には 青々と 豊な葉を 空へ向かって たなびかせ小さな実を ぽつり ぽつりと 実のらせる秋には 落 ...





◎さっちゃんとやえちゃん◎

ホリー絵日記

作 ホリー
絵 アロ


さっちゃんは 
庭にある「桜の木」が 
大好きだった

春には 
可愛らしい ピンクの花が 
枝を残すことなく 咲き誇り 

夏には 
青々と 豊な葉を 
空へ向かって たなびかせ
小さな実を 
ぽつり ぽつりと 実のらせる

秋には 
落ち葉の上を 
サクサクと 歩いたし

冬には 
太い枝に よじ登り 
流れ星を 探した

「これは 花見で見かける
ソメイヨシノ じゃなくて
八重桜と いうんだよ」

お父さんが 教えてくれた

さっちゃんは 
すぐさまその桜の木に
「やえちゃん」という 
名前をつけた

まだ 寒さの残る 
3月のはじめ
お父さんが言った

「もうすぐ 引越しするよ
車で 10分の ところだけど
今度は 借り物じゃない 
ぼくたちの 本当の家だよ」
  
さっちゃんは 目を丸くした

「大丈夫だよ さっちゃんは 
学校も 変わらないから」

「ちがうよ おとうさん 
やえちゃんは? 
やえちゃんは どうなるの?」

「ヤエちゃん?」

今度は 
お父さんが 目を丸くする

「にわにある さくらのきも 
いっしょに おひっこしできる?」

「あの木は 無理だよ
この家は もともと 
借りている ものだから
ありのまま 桜の木も 
お返ししなくちゃ」

困ったように 眉をひそめる 
お父さんの言葉に
さっちゃんは がっかりと 
肩を おとした

「近所だから大丈夫 大丈夫
桜が咲く頃 
皆で一緒に 見に来よう」

お父さんは 
笑って そう言った

そうじゃないのに・・・

この家に 新しい家族が 
引っ越してきたら
やえちゃんは 塀の向こう
もう 落ち葉のベッドを 
作ったり 木に 昇ることが 
出来なくなってしまう

それが 寂しくて 悲しくて
さっちゃんは しゅんと
小さくなった

3月が終わる頃
さっちゃんは 新しい家に 
引っ越した

車で10分と 言っても 
子供の足で この道のりを 
歩くのは 簡単ではなかった

今 この窓から見える 
景色のどこにも
やえちゃんの姿は ない

ぽかぽかと
暖かくなり始めた 4月

あれだけ 咲き誇っていた 
ソメイヨシノも
葉っぱだらけに なっていた

「ちょうど 
やえちゃんが さくころだ」

ぼんやりと さっちゃんは 
頬杖を ついていた

ぺたり

さっちゃんの おでこに
何かが くっついた
小さな指で それを つまむ

「あっ」

さっちゃんは ちいさく
悲鳴を上げた

「はなびらだ」

また一枚 ひらひらと 
はなびらが 舞い込んでくる

「やえちゃんだ!」

毎年 見ていた
このはなびらを
間違えるはずはない

「おとうさん おかあさん!
やえちゃんが 
あいにきてくれたよ!」

さっちゃんは 
叫ばすには 居られなかった

春が過ぎ 夏が来ると 
やえちゃんは
小さな実を その枝に 実らす
その実を 少し 分けてもらおう

さっちゃんは そう思った

来年の春には
この 新しい庭に
小さな「やえちゃん」が
芽吹くのを祈って





◎ぼくの指さし◎作 ホリー絵 チハナぼくが まだまだ赤ちゃんで ちゃんとお話が できなかったころ ぼくは よく指をさしておかあさんに いろんなことを つたえていたおなかがすいたら おかし箱を 指さしたり外に行きたかったら げんかんを指さしたでも ことばが ...





◎ぼくの指さし◎



作 ホリー
絵 チハナ


ぼくが まだまだ赤ちゃんで 
ちゃんとお話が できなかったころ 

ぼくは よく指をさして
おかあさんに 
いろんなことを つたえていた

おなかがすいたら 
おかし箱を 指さしたり

外に行きたかったら 
げんかんを指さした

でも ことばがなくても 
おかあさんは いつでも 
なんでも わかってくれた

それが うれしくて 
ぼくは たくさん
たくさん 指さした

くろくて 大きな 
ちょうちょを みつければ

ぼくは めずらしさのあまり 
指をさす

すると おかあさんは

「きれいね あれは 
クロアゲハって いうのよ」

と うれしそうに 笑う

馬のように 大きな犬を 
公園で みつければ

ぼくは おどろきのあまり
指をさす

すると おかあさんは

「大きいわんわんね 
おかあさんも はじめてみたわ」

と いっしょに 
おどろいてくれた

おとうさんを 
むかえにいった駅で 
ぼくは だれよりも 
はやく 人ごみの中から 
おとうさんを 
みつけだして 指をさす

すると おとうさんも 
おかあさんも おおよろこびで 
ぼくを なでてくれた

あるひ ぼくは 
しゃりんのついた いすに
のっている人を 
まちで見つけて 指さした

すると おかあさんが 
ぴしゃりと いった

「指をさすんじゃなくて 
手をさしのべるのよ」

いま ぼくは 
すこしだけ 大きくなって
そのいみが まえより 
すこしだけ わかるようになった

ターバンをまいた おじさんも
つえをついた おねえさんも
車いすに のった おじさんも
みちゆく おおくの ひとたちも

なにかしら 
こまっていることが あるらしい

それは ことばだったり 
ぶんかだったり 
けんこうの もんだいだったり 
しごとの もんだいだったり
りゆうは いろいろで
まだまだ ぼくには 
むつかしいけれど

「手を さしのべる」

ぼくは じゅもんのように 
なんども そのことばを 
くりかえす

めのわるい おばさんは 
でんしゃに のっても
あいている せきが 
わからなくて 
ずっと ドアの ちかくで 
たっている

そんな おばさんの 手を
ぼくは ほんのすこし 
ひっぱってみる

「ここ あいてるよ」

車いすの おじさんが 
ちいさな かいだんで
たちおうじょうしている

ぼくのからだは 
まだまだ 小さくて
おじさんの 車いすは 
おしてあげられないけど
たすけてくれる人を 
よぶことは できる

ひとりぼっちで 
こうえんの ベンチに
こしかける おばあちゃんに
たのしい話は 
してあげられないけど
となりにすわって 
いっしょに 空を 
ながめることは できる

ぼくに できることは 
まだまだ すくないけれど
でも だいじょうぶ
これから すこしずつ
ふやしていけばいい

ぼくは もうすぐ
もうどうけんに なる








◎手作り絵本◎のはらちゃん~タマゴのまき~おしまい ...





◎手作り絵本◎

のはらちゃん

~タマゴのまき~
































おしまい





◎手作り絵本◎チーとモー~つづらのまき~おしまい ...





◎手作り絵本◎

チーとモー

~つづらのまき~








































おしまい