前・グラニー邸は
6LLLDDDKの豪邸だった。

以前
その豪邸でひとり暮らしをしていた
シドニーじいさんは
グラニー一家に売却後
隣の小さな平屋に引っ越した。

それから27年――

グラニー達が
その豪邸を引き払い
義妹のお向かいに引っ越しても
シドニーじいさんとの
親戚のような関係は
今も尚続いている。

というか
もはやお隣でもないのに
グラニーは毎晩
シドニーの為に夕飯を作り
せっせと運んでいる(真顔

私には真似できない(棒読み

最近は視力も衰え
ほとんどモノが見えなくなった
御年93歳のシドニー。

生涯未婚を貫き
子供も孫もいないシドニー。

そう思ったら
手を差し伸べたくなるのも
分からなくはない。

だがしかし
我々親族一同は知っている。

シドニーが
オーストラリアの別荘で
一年の半分を
過ごすような
億万長者だと
いう事を(真顔


(別荘は10年前に売却したが
それまでは常に「夏」を求め
北半球と南半球を行き来していた)

余裕で贅沢なケアハウスに
入所出来るハズなのに
なぜか未だ
オンボロの平屋で暮らし
全く血のつながりのない
グラニーのお世話になり続ける。

私には真似できない(棒読み


そんなある日
グラニーがこう言った。



グラニーの
ボランティア精神もスゴイが
シドニーの
執着心も筋金入りだ(能面


ちなみに
病院の検診等もグラニーが
車で送迎しているのだが
予約が午前中の場合は
「まだ寝ている時間だから無理」
と言って勝手に
キャンセルしちゃうような
そこそこ面倒なジイサンである。

だがしかし
ボランティア・グラニーにも
ホリデーの予定があるワケで――






白羽の矢が立ち
動揺する母の横で
まさかの「飯運び要員」に
名乗りを上げたのは



次女モモカ(15)
であった。




そう――
彼女は知っているのだ。



「お駄賃」が
発生するという事を
(真顔)