ビールを購入しようと
行き付けのスーパーへ向かった。

会計の為
コンベアに商品を並べていると
レジ係の女の子と目が合った。

年は20代前半と言ったところか。

かつて一度も
見かけた事がないので
きっと新人なのであろう。

そんな事を思いながら
コンベアの上にビールを置いた。

それを手に取りながら
新人レジ係が怪訝な表情を見せた。

「IDいいですか?」

25歳未満に見える場合は
IDの提示を求められる場合がある


久方振りの年齢確認に
息をのんだ。

いや、ちょっと待て。
こんなにクタビレた
25歳未満がいるのか?

いやいや
IDを見せてもいいが
思いっきり43だぞ。

誰も得しないこの状況に
しどろもどろしていたら
すかさず前後のレジにいた
2人のベテラン従業員が


「その人は大丈夫!」
「ビールOKよ!」



と、なかなかの声量で
新人に指示を出した。

ちょっと待て。
逆にID提示をそんなに全力で
止められたら――

レジの中心で
「その人オバサン!」と
叫ばれた気分だ
(真顔




この町ではきっと
還暦前の東洋人が
IDなしで酒を買う事なぞ
出来ないのだろう(真顔