クリスマスイヴの夜――

私のスマホに着信があった。
洗い物の手を止め
スマホ画面に目を落とすと
長女チハナ(15)からの
入電であった。

私は目を見張った。

なぜならチハナは
只今絶賛シャワー中なのだ。

私は慌てて
シャワールームに急いだ。

シャワールームでぶっ倒れて
動けなくなったか?
もしや急に気分が悪くなったか?

シャワールームを
執拗にノックし
チハナの安否を確かめる
すると「何ー?」と
暢気な声が返って来た。

「何って
今キミから着信が
あったんだけど?」

すると
シャワールームから
チハナの絶望的なうなり声が
響き渡った。

「さっき渡した
クマちゃんのポッケに
スマホ入れっぱなしかも!」

私は目を剥いた
なぜならそのクマちゃんは

只今絶賛
洗濯中なのだから
(真顔


クマちゃんは↓こちら



私は金切り声を上げながら
洗濯ルームへ走った。

なぜって
チハナのSE通称せっちゃんは
ウィータープルーフでは
ないのだから(絶望

ゆえに只今絶賛
存分に水没中なのだ。

私は無我夢中で
助けを求めた。

「モモカ!
スマホが水没した!
どうすればいいんだ!」

すると
俊敏に登場した
次女モモカ(14)は
私からスマホを奪うや否
華麗にそれを
米びつに突っ込んだ。

「スマホの乾燥には
ライスだよ☆」


西洋でも
まさかのコメ推しに
衝撃を覚えた午後7時――

私は不謹慎な言動を
必死で抑えた。

米びつ同様
猫砂(シリカゲルタイプ)も
端末の乾燥に良いとの事だが
両方常備している我が家は
何気に水没向きだな(微笑
と――

この騒動の後
なぜこんな事になったのかと
モモカが訊いて来たので

「チハナが
シャワールームで水没中に
洗濯機の中で水没中のスマホから
お母さんにSOSが入ると言う
不可思議な現象が起きたのだよ」


と、ウマい事言ってみたら
意外にウケた。


いやそんな事より
絶賛水没中のスマホが
ピンポイントで母親に
連絡なぞ出来るのか?

シャワーを終えたチハナを加え
我々3人は懇々と話し合ったが
皆目見当も付かなかった――

我々は
最終的にこう結論付けた。

瀕死のせっちゃんが
「水攻めに遭ってるから
助けて下さい」と
自ら発信して来たと――




その後――

米びつに突っ込まれていた
せっちゃんは
無事復活を果たしたワケだが
残念な事にスクリーンが
多少おかしくなったので
早目の誕生日プレゼントとして
チハナへは「8」を
購入する事にした。

すると
それを聞きつけたモモカが
「モモカも誕生日だから
ついでに買ってー☆」
と、言う事で

モモカには「X」を
購入する事にした――

おまけの「X」の方が
200ポンド高いがな(真顔



◎おまけ◎



クマちゃんガウンが乾くまで
クマちゃん着ぐるみで
生活していたチハナ(真顔