旦那の誕生日は
22日の冬至だった。

この日の予定は

①午前9時にナタリー兄が
COCOを我が家に連れて来る

②早朝ランニングから帰宅した
旦那に「犬をプレゼント」と言う
ドッキリを仕掛ける


というモノだった。

土日のランニングは
大体午前5時~午後1時コース。
ドッキリを仕掛けるには
充分な時間が用意されていた。

午前9時にCOCOを迎える為
我々女3人衆は
ホリデー初日にも関わらず
早朝から起床し
意気揚々と準備に励んだ。


――が


待てど暮らせど
COCOが来ない
(真顔


心配したモモカが
すでにポーランド入りしている
ナタリーにメールを送った。


――が


返信が来ない(真顔


ポーランド・タイム
恐るべし(能面



うっかりターゲットが
先に帰宅してしまうと
今までの根回しが水の泡である。

そわそわと
落ち着かない我々の元に
ナタリーから返信が来たのは
それから30分後の事だった。

『今起きた。
兄はいつも遅刻する』


そんな限りなく電報に近い
メッセを送り付けて来たナタリーだが
ようやく目が覚めたのだろう
「すでに1時間の遅刻」という
事態を飲み込むと
慌てて兄への連絡を試みた。

――が
なかなか繋がらないとの事。

そして昼過ぎ――

ようやく兄と連絡がついた
ナタリーから
我々は衝撃的な事実を
告げられる事となった。


『朝9時じゃなくて
夜9時だって☆』



面白くない
ジョークだな(白目


どうやら兄妹間に生じた
「9時」の認識のズレが
12時間の時差を生んだらしい(真顔

そんなこんなで我々は
ゆるりとランチを取ったあとは
各々自由な時間を過ごした。


午後3時――

旦那から一通のメールが
送信されて来た。

『午後6時に
帰りマース』


私はスマホ片手に
小さな悲鳴を上げた。

かつて一度も
「帰るコール(メール)」等
してこなかった旦那が
訊いてもいない帰宅時間を
勝手に告げて来たのだから(動揺


これは
ご自分のお誕生日
パーリ―タイムの
時間指定か(真顔



私は先程スーパーで購入して来た
ローストチキン(調理済み)の
温め法をチェックしてみた。

オーブン60分
もしくは
電子レンジ17分


午後5時半から用意しても
余裕で間に合うな――と
私はほくそ笑みながら
チキンを冷蔵庫に返品した。



午後5時半――

私は肩を回しながら
キッチンへ向かった。

早朝からサンタの扮装で
陽気にランニングしていようと
今日は彼の誕生日。

盛大に祝ってやろうではないか。

娘達もプレゼントの用意をして
(ドッキリも含む)
楽しみにしているのだ。


ローストチキンが
レンジの中でぐるぐる回り出した
午後5時45分――

旦那からの入電である。

『今夜は
ランニング仲間と
クリパなんだケド
もうパブに
来ちゃったんダヨネー
今夜は帰らなくテモ
イイかなー?』




ご機嫌に自由だな。
バースデーボーイ。




『もしかシテ
ローストチキン
焼いチャッタ?』


安心しろ「チン」だ(真顔

旦那の誕生日は毎年
ローストチキンで
お祝いと言うのが定番だったので
メニューに関しては
ニワトリ級の脳みそにも
インプットされていたのだろう。

だがしかし
プレゼントを用意して
待っている娘達の気持ちまでは
さすがに
推測できなかったようだ(無念



腕によりを掛けて
チキンをローストしていたら
間違いなく離婚問題に
発展していたであろう
この案件を振り返り
私は底知れない恐怖を覚えた――


もしや
壮大なドッキリを
仕掛けられているのは
私の方なのでは
なかろうかと(真顔




午後6時――

私と娘達は
ご本人不在のまま
無駄に豪華な夕食を堪能。

午後9時――

COCOが
我が家へやって来た。



午前4時――

旦那にチャイムを
鳴らされた(真顔