月曜の夜――
旦那が6日振りに帰宅した。
週末に開催されたおフランスの
トレイル・マラソンに
参加していたらしい。
今年、すでに3度目の
フランス遠征である。
もはや「市民ランナー」の
域を超えている(真顔
そんな旦那は、開口一番
「どれ程疲れたか」
「どれ程頑張ったか」
「どれ程凄かったか」
――を、主張しまくる。
どうやら
我が家のカマッテちゃんは
嫁や娘に褒めて貰いたいらしい。
崇拝せよオーラを
まとった旦那の横で
私はただ黙々と
旅行バッグの片付けに精を出す。
早く洗濯物を出さないと
家中に異臭が漂うのは必至。
私なりに
忙しいのよアピールを
全面に押し出してみるが
あえなく失敗。
そもそも彼に
空気を読む力はない。
ほどなく
「疲れたから何も出来ない」
主張が始まる。
趣味に莫大な金と
時間を費やして
疲れたと
のたまえる
その神経。
情緒不安定なのであろうか(真顔
そんな旦那をよそに
着々と片付けを
遂行していく私――
夜11時――
洗濯終了。
シャワーも浴びた。
あとはこの右手にあるビールを
喉に流し込むだけだ。
酒の肴に
ドラマでも見たかったのだが
旦那にテレビを
ジャックされていたので
私はそのまま仕方なく
ベッドに潜り込んだ――
「ホリー起きテ。
スマホの充電器ドコ?
ねぇ、起きテ」
・・・・
瞼が異常に重い。
いつもなら起こされた怒りで
カッ!と目が開くのだが
今回は違う。
全く身動きが取れないのだ。
「ドコに置いタ?
充電器
アレがなきゃ
充電出来マセン」
・・・・まぁ
そうでしょうね。
「早く起きテ!ドコ!?」
かつて無い程に身体が重い。
私も年だなと嘲笑しながら
目覚まし時計に目を落とす。
午後11時50分。
眠りに落ちたであろう瞬間に
起こされたらしい(真顔
その後も「車の中カナ?
ドウ思う?」としつこく
質問を繰り返す旦那。
どうやらランナーズ・ハイの
坊ちゃんには「自分で探す」と
言う選択肢はないらしい。
ちなみに問題の充電器は
おフランスに
忘れて来たようだ。
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