とある晴天の昼下がり――

私は相も変わらず
貴重な青空にガッツリ背を向け
8割方カーテンを
閉め切った薄暗闇で
ただひたすら
イラストを描いていた。

なぜって
眩しすぎてPCのスクリーンも
テレビも見えやしない(真顔


ふと
玄関からパタパタと言う
乾いた音が聞こえて来た。

風であろうか――

だがしかし
裏庭の木は
時間を止めたかのように
微動だにしない。

いくばかテレビの音量を
下げてみる。

やはり
無機質な音は健在だ。

誰かがチラシを
新聞受けに入れようとして
何かしらモタついているのだろう。

私は薄っすらと笑みを浮かべながら
リビングを這って廊下へと向かった。

すると
擦りガラス越しには
女性らしいシルエットが
やはり新聞受けと格闘していた。

未だチラシ1枚ドア前に
こぼれていないその光景に
愉快な感情が込み上げる。

私はそれを必死で抑えながら
新聞受けの女を観察し続けた。


だがしかし――
私は気付いてしまった。


その乾いた音は
密やかに軽快なリズムを
刻んでいるという事に。


もしや
ノックしているのか?



戦慄が走った。

新聞受けの蓋で
ドアをノックするなぞ
新しすぎて全く付いて行けない。

己を納得させようと
ありとあらゆる可能性を
考慮してみる。

そんな私の
ファイナル・アンサーは↓




こいつだと思ったに
違いない(真顔




いやしかし――




我が家の新聞受けは
確かに金色だが
形状はかなり相違していると
思われる。

いや、そもそもすぐ隣に
チャイムが付いている。


・・・昼下がりのホラーだな。


そんな事を思いながら
私はひっそりと踵を返した――



我が家を不在と思ったか
静かにお隣りの家へと
向かって行った新聞受けの女――

一体何をしに来たのか
今更だが
気になって仕方ない(真顔

余談だが
過去3回訪問客が
裏庭からやって来た事がある。

そんな予測不能な
行動を見せてくれる
スコットランドの人々に
私は今日も
感謝の意を込め合掌する――