旦那の暗号文に
書かれていたアイテムを
しっかとゲットして来た
つもりだったが

箱を開けると
パンツが1枚
足りなかった。



1箱2枚セット×2=£35


「このパンツ高いんだカラ
ちゃんとお店で
交換して来てネ!」

旦那はそう言い放つと
真新しいパンツ
2枚だけを携え
サクッと旅行へ出掛けて行った。

次の日
私はレシートと箱を持って
隣町にある購入店へと舞い戻った。

2階建ての
そのスポーツ・ショップは
なかなか巨大な縦長の建物で
レジはうっかり
その一番奥に位置する。

平日の夕方であった為か
店内はガラガラだ。

1階奥のレジでは
冴えないおじさんが
お会計中であった。

まったりその後ろで
待機していると
「返品・交換は
2階のレジにて」と言う
メッセージ・ボードが
目に留まった。

2階に行くべきか。

私は激しく動揺した。

いやだがしかし
交換したいパンツは
1階のこのレジ前に
陳列している。


その上
このレジに並んでいるのは
今のところ私のみ。

このままここで
交換してもらった方が
どう考えても早い。

だがしかし
やはりレジの女は


「交換?ああ・・・
2階に行ってくれる?」



と、挙動不審なアジア人を
無下に扱った。

私は渋々2階のこれまた奥地に
位置するレジへと向かった。

しかし
ここに来て正解だった。
1階のレジ女とは比べようもない
なんとも感じの良い女の子が
対応に当たってくれたのだ。

「交換でいいですか?」

彼女の屈託のない笑顔が
眩しすぎる。
私は2つ返事でお願いした。

だが、次の瞬間
私はとてつもない後悔に襲われる。

彼女は足を
引き摺っていたのだ。


平謝りしまくるアジア人を
彼女は笑顔でたしなめながら
1階レジ前へと向かう。

そんな彼女の後姿を
私はただただ黙って
見守る他なかった。

5分程経過したであろうか――
視界の隅に
足を引き摺る彼女を捉えた。

息も絶え絶えとなった彼女が
レジに戻って来た時
私は小さな悲鳴を上げる事となる。

その箱
「S」サイズ!


私は半泣きで
「M」サイズを懇願した――



私が取りに行けば良かったかと
只今絶賛迷走中(真顔