午後5時半――

旦那が不意に帰宅して来た。


もしや
病原菌持ちか?



ランニング用に持って行き
そして使われる事なく
持ち帰られて来たのであろう
ランニング・シューズを無造作に
靴箱の上へと放り投げ
ひとり何やら
不穏な空気を漂わせる。


やばい
生理中か!



それを察知するや否
私は厳戒態勢に突入し
無言でせっせと
夕飯の支度を始めた。

滞りなく
旦那にメシを与え終えると
私はヤツの通勤バッグから
お弁当箱を回収する為
靴箱方面へと向かった。

そして
私は気付いてしまった。


旦那が
生理になった
その理由を――



そう、彼は仕事帰り
ランニング・クラブに出向いたが
走りたくても走れない状態だった為
渋々帰宅して来たのだ。


なぜなら
靴が2つとも
右だったから。



やはり、馬鹿なのか――


私はそんな右靴達を
そっとガレージに
戻してあげた――





同じ靴が4足あれば
そういう現象が起きるのか、否。