近所のスーパーマーケットで
ダグラスじいさんから
グラニーの調子が良く無い事を
教えて貰った。

なるほど。

ゆえにダグラスは
いつものようにグラニー邸で
アフタヌーン・ティーが
開催されなかったので
普段見かけないこの時間帯に
スーパーにいるんだな。

と、意地悪な解釈をしてみる。

その後、私は4日連続
ダグラスとスーパーで出会い
彼と共に買い物をし
彼と共に帰って来た。


間違いなく数人は
私がダグラスじいさんの
嫁と思ったに違いない。



話は脱線したが――

週末に娘達を連れて
グラニーのお見舞いに
行ってはみたモノの
彼女はベッドから
出られない状態だと
グランパが教えてくれた。


その後
1週間経っても
彼女の容態は
一向に良くならなかった。

その上
抗生物質の副作用で
情緒が不安定になると言う。

その頃
グランパはうっかり
スペイン旅行に出掛けていたので
夜はジルの家で
寝ていたというグラニー。

私は極力彼女の睡眠を妨げぬよう
そっとランチを持って行く程度
だったのだが
グラニー邸の食洗機に
大量の客用ティーカップを発見し
爆笑が止まらなかった。


見舞いに
来てくれた客人に
お茶を振舞う
グラニーの
その人柄に脱帽だ。



そんな日々が
1週間程続いただろうか
旦那が私に
グラニーの容態を聞いて来た。


「グラニーの
調子はドウ?」


・・・・
気になるなら本人に
メールで聞くがいい。

昼間は動く事も出来るし
電話もメールも
ガンガンしているようだ。

いや
そもそも今日は土曜日だ。
休みなのだから
会いに行けばいい。


すると
旦那は呆れ顔で私にこう言った。


「ワタシは
キミと違って
忙しーデス」



ほほう。

私はこの日の旦那の
スケジュールを思い返す。

午前6時に出掛け
森の中をトレイル・ランニング。

11時からジムに励み
お腹が減ったと13時に帰宅し
今に至る――


間違いなく
今から暇だよな。



すると旦那は時計を見詰めながら
こう言った。

「18時から夜の部の
ジム・トレーニングが
2時間アリマス☆」


私は眉根を寄せた。

コイツは一体
何を目指しているのか。


夜のトレーニングに向け
仮眠が必要だと言う事で
私に

「夕飯は16時頃用意してネ☆」

とだけ言い残し
イソイソと寝室へ消えて行った。


調子の悪いグラニーを放置して
旅行に出掛けたグランパを
これでもかと言うくらい
糾弾していた旦那だが
間違いなく将来お前も
同じ事をするに違いない。

と、確信を持てた昼下がり。




その後
愛息のお見舞いもないまま
グラニーは完全復活を果たした。