どっぷり暮れた
午後9時過ぎ。

旦那が満面の笑みを浮かべながら
私の元に近づいて来た。

何かしら魂胆が
あるに違いない(真顔


「お向かいの人が
さっきワタシの
オークション・サイトで
落札してくれたヨ☆」



・・・へぇ。


「落札して20分で
ドア・ポストに
物が届いたら驚くヨネ?」



・・・さぁ。


「だから、はいコレ!
お向かいのポストに
入れて来テ☆」



ほぉ・・・
いや、なぜ私が?


「だって、ヒマだよネ?
ワタシ、忙しいし」




へぇ。




「反論する事」を
一切封印してから
一体どれ程の月日が
流れただろう――

今では表情一つ変える事無く
心の中で悪態を付きながら
舌打ちしまくるという
不健康な特技を身に付けた。

腹の中真っ黒な私が
白目を剥いて
お向かいのドア・ポストに
商品を投函する。

踵を返したその時――

車に乗り込む
旦那を発見した。



「ランニングに
出掛けて来るよ☆」





!!!



出掛けるついでに
お前が投函しろよ。

とは言わず
私は無表情で家に戻った――