10日朝――

時差ボケと疲労により
廃人と化していた私に
旦那が訊いて来た。


「ワタシの
指なし手袋は
どこデスカ?」



うん。
数週間ぶりに帰宅した私が
逆に把握してたら怖くね?

もしや旦那は
ここ9日間の記憶がないのかと
一抹の不安がよぎる。

だがしかし
私が撃沈している
リビングを通り過ぎる度

「日本は楽しかったデスカ?」
「疲れてマスカ?」

と、聞くに及ばぬ事ばかりを
何度も問うて来るので
きっと記憶はあるのだろう。

少しばかり頭が動き始めた夕食後
旦那が
堰を切ったように話し始めた。


「いやぁ
キミのホリデー中は
ホント大変ダッタヨ☆」



旦那の大変だった事はこちら↓

①グラニーが
緑のバナナばかりを買って来る

②グラニーが
ホーム・メイドのアップルパイや
ケーキばかりを持って来る

③グラニーが持って来る
夕食の量が少なすぎる

④グラニーが
「塩水漬け」のツナではなく
「オイル漬け」のツナばかり
買って来る


突き抜ける程の
我儘具合と依存度に
清々しいとさえ
思える。



そして
猫の面倒をみて貰っていた
お向かいの
リンダおばちゃんに関しても
こんな苦情を漏らしていた。

①リンダがコンセントを
次々に抜いていく

②リンダが勝手に
ベッド・メイキングする

③リンダがシャワー・ルームの
ペンキ塗りを勧める


鼻を
ほじりたくなる程に
どうでも良すぎる
(真顔



何はともあれ
この9日間
旦那が2人のご婦人から
過保護に育てられていた事が
露見した瞬間だった。



旦那の
自称「一人暮らし」が
聞いて呆れる(真顔