クリスマス・ホリデー前
私の家の鍵が突如消えた。

旦那がうっかり
職場に持って行ったのだろうか。

いや
さすがにそれは濡れ衣だろう。

私はそう思い直し
再度思考を整理した。

そう言えば以前
猫達が私の家の鍵で
遊びまくってたな。

なんせ私の鍵には
猫まっしぐらの鈴が付いている。

だがしかし
どこを見渡しても
鍵は落ちていない。

一応念の為
旦那に鍵の行方を
聞いてみる事にした。

すると
彼の回答は――

「ハァ!?
ワタシがキミの鍵を
失くすなんて有り得ナイ!!
あんなウルサイ鍵
持ってたら気付きマス!!」

――だった。

やはり
鈴の魅力に憑りつかれた猫達が
どこかへ持って行ったのだろう。

今度は30分を費やして
家中を捜索した。
犯人が猫ならば
鍵は必ずこの近辺に
潜んでいるはずだ。

しかし
鍵は見付からなかった。

なぜなら

帰宅した旦那が
持っていたから――


呆然とする私に旦那が言った。

「上司に『キミが歩くと
クリスマス的な音がするね♪』
って言われたヨ☆」


いや
キミが報告すべきは
ソレではない(真顔



せめてメールの1本でも
入れてくれれば
私はこのクソ忙しい
師走の30分を
無駄にする事なぞ
なかったのにな、と
空を仰いだ冬至の夜――