さぁ、今日も働いた。
ゆっくり眠りに付こうと
思ったその時
洗濯機の上にドカッと放置された
汚いバックパックを発見した。

うん。
ムカつくな。

レース直後の光景ならば
まだこのイラ付きは
抑えられたかも知れない。

しかしコノ時点で
すでに2日が経過している。

鼻歌混じりに
私の横を通過して行く
旦那を呼び止め
私は思わずこう言った。

自分のバックパック位
自分で洗えや。

その瞬間

「ハァ?」

旦那が激しく眉根を寄せた。

やばい。
ヤツは生理中だ。

午後11時――
後悔も虚しく
「怒りスイッチ」ON!

「キミは専業主婦デショ⁉
毎日毎日ダラダラと
ワタシのおカネで生活させて
貰っている分際で
ワタシに洗濯シロと⁉

ワタシは毎日毎日
忙しく働いているノニ
キミは毎晩毎晩
ワタシのおカネで
ビール三昧デス!

素敵なホテル暮らしデスネー!」


絶好調だな。


いやいや
キミが忙しいのは
毎朝毎晩走りに行き
週末泊り込みで
レースに参加して
いるからであろう。

そもそもキミの趣味に
私は一体ドコまで
貢献せねばならないのか。

とは、一言も口にせず
「怒りモード」が過ぎ去るのを
私はただただ待った。

だが
この日の彼は違っていた。

「暇な主婦だと言うノニ
洗濯もしないナンテ
とんだカネ喰い虫だネ?

ワタシは毎日365日
頑張っているノニ
キミは毎日ホリデーだ!

家の事を全部こなすノガ
主婦デス!
キミはそんな事も
出来ナイノー?ハーン?」


突き抜ける程に
絶好調だった。



いやはやまさか
「バックパックの洗濯」ひとつから
「専業主婦論」まで語られるとはな。