突如、旦那が言った。


「ミコノス島へ
行コウ!」



どこだよ。

とりあえず
この唐突なオファーに
目を剥いてみる。

未だかつてホリデーに
誘われた事すらないので
驚きは更に倍増である。

ミコノス島。

それが一体ドコに存在するのか
分かりかねるが
なんとなく英国でない事くらいは
私にも分かる。

これが実現すれば(帰国を除き)
私のブリテン島初脱出となる。

が、
折角の海外旅行ならば
私には行きたい国があった。


それは
イタリア。



以前「スイス・フランス・
アメリカ」等に行きたいと
旦那に打診するも
即却下されるという
体験をしたにも関わらず
私は思わず口走ってしまった。


イタリアに
行きたい。



と―――


すると
旦那の顔は見る見る曇った。


「ハン?イタリア?
あんな最悪な国は
他にナイ!」



お前、過去に
イタリアで何があった?

とは訊かず
私は唖然としてみせる。


「イタリアなんて
楽しい事は何ひとつナイ。
ワタシはホリデーで
ゆったり過ごしたいんデス」


スコットランドでも十分
ゆったり出来そうだが。

いや
そもそも私はこの12年間
自然豊かなこの国で
ゆったりのんびり過ごして来たのだ。

何ゆえホリデーでも
のんびりせねばならぬのか。

私的には刺激的且
世界遺産的な
ホリデーを満喫したい。

そんな思いが
ガッツリ滲み出ていたのだろう私に
旦那が早口で捲し立てる。


「キミはミコノス島に
行きたくナイと
言うんデスネ?
ホリデーには
行きたくナイと?
折角格安のホリデーを
頑張って探したノニ
キミはワタシの努力を
無下にするんデスネ?

もうイイ!
ワカッタ!」



そう吐き捨て
家を出て行った。

家の鍵も閉めずに。


自分の意見が通らないと言う事が
今迄なかったのであろう旦那。

まさかの嫁如きに反論され
機嫌を損ねてしまったのだろう。


お前の器
お猪口並みだな。



いつか、面と向かって
言ってみたい(真顔





ミコノス島はエーゲ海中部・
キクラデス諸島に属する
ギリシャ領の島。

エーゲ海の代表的な観光地の1つで
サントリーニ島とともに人気がある。
風車が人気の観光スポット。

らしい(棒