■登場人物■

◎グラニー 
旦那の母親(姑)

◎ミック 
旦那の異父弟(義弟)

◎ローレン 
ミックの彼女 

◎ジル 
グラニーの最愛の娘(義妹)



土曜日――

朝から暢気に
掃除機をかけていた私。

うっかりグラニーからの
着信に気付かず
次女モモカ(11)が
その対応に当たった。

すぐさま
モモカが歓喜の雄叫びを上げた。

「ママ!
ローレンの赤ちゃんが
生まれたって!」

ホントか!?
それはめでたいな!
ところで男の子か?
女の子か?

「女の子だって!
名前はBって言うんだよ!
目と髪は茶色なんだって」

・・・・何気に詳しいな。

「うん、グラニーが色々
教えてくれたよ。
今フェイスブックにも
写真が上がってるから
すぐ見て、だって!」

グラニー
もしやフェイスブックで
ローレンの出産を知ったか。

「でね、グラニー今から
ジルの所に行くんだって」

はい?
ローレンの所ではなく、ジル?
何かの間違いではないか?

「ううん。
ジルの調子が悪いみたいで
今からチキン・スープを持って
様子を見に行くらしいよ」


その優先順位
合ってます?



まぁ、よくよく考えてみると
出産後すぐさま
彼氏の母親に押しかけられても
ローレンが疲れるだけであろう。

そう思えば
この優先順位もありだな。
と思ったランチ前――



月曜日――

グラニーから
電話が掛かって来た。

「ハロー!ホリー!
ローレンの赤ちゃん
今日見に行きなさいよ」

!?

でも金曜日に出産し
土曜日に1泊だけの入院
そして昨日
退院したばっかりですよね?

そんな疲れたローレンの元に
ノコノコ行けないわ・・・


「大丈夫よ。
昨夜コリン宅の4姉妹は
すでに赤ちゃんに
会いに行ってたわ☆
あなた達も見に行くべきよ」


すげぇな。
コリン一家
(計6人)。



・・・・いえ。
今日はやめておきます。

きっとローレンは
疲れているだろうし
(元々私との関係性が
薄いミック宅に)
旦那抜きで会いに行くのも
どうかと思うので
この週末
家族で会いに行きます。


「ええ!?週末だったら
生後1週間を越えちゃうわよ?
生まれたてに会えるのは
今だけよ?
どうして行かないの!?」


しつこいな。


とは口に出さず
無駄に食い下がるグラニーを
私はこんこんと諭す事にした。


(心の叫び編)

長女チハナを出産後
やはり1日で退院させられた私は
当時住んでいたグラニー邸へと
戻って来た。

私の地獄はそこから始まった。

毎日毎日
親戚・友人・ご近所さんが
引っ切り無しにやって来ては
赤ちゃんお披露目という名の
儀式が執り行われた。

それは、昼寝中だろうが
授乳中だろうが
お構いなしに2週間続いた。

いや
きっと私の友人・親戚一同なら
嬉しかったのであろうが
なんせ
初対面の人が多すぎた。

名前も知らない人々への
作り笑いの日々に
私の神経は磨り減っていった。

私には
そんなトラウマがあったので
いくらソレ(産まれたての赤子を
見に行って褒めちぎる)が
「伝統的な出産祝い」だとしても
自宅に戻った次の日に
ズカズカと会いに行くなぞ
私には出来ない。


(遠回しにお断り編)

ええ、まぁ。
赤ちゃんとローレンに
会いたいのは山々ですが
なんせまだプレゼントも
用意していないので――

さすがに手ぶらで行くのは
いかがなものかと。


「あら
プレゼントなんて
気にしなくていいわ」


姑には
そんな決定権まで
あるんすか?



いやいや
私が中高生ならまだしも
れっきとした大人が
手ぶらでお祝いなんて
死んでも出来ませんわ。

「・・・・そう? 
ローレンもミックも
喜ぶと思ったのに・・・
それにミックは
2週間育児休暇を貰ってるから
ローレンもゆっくり
休めると思うのよね」

いや
それはあなたの意見であり
ローレンの意見だとは限らない。

百歩譲ってグラニーが
ローレンの母親であるならば
私もすぐさま彼女へ労いの言葉を
掛けに行ったかも知れない。

そんな事を
悶々と考えていたら
グラニーが私にこう言った。

「昨夜、ローレンと赤ちゃんが
自宅へ戻って来たでしょう?
ミック、とても心配していた
みたいだけど
ゆっくり眠れたらしいわ☆」

そうだろうな。
夜間授乳しているのは
ローレンだし。



嫁<赤ちゃん=息子


の方程式がくっきり見えた
その言動に
沸々と自分自身の過去がよみがえり
腹が立ってきた。

そう、私と全く同じ立場なのが
唯一このローレンなのである。

幸いローレンの実家は近く
毎日母親が来てくれるようなので
そこは安心だ。

そして
グラニーの話はどんどこ変わる。

「ねぇ、ホリー。
あなた【ワッツ・アップ】
(LINEみたいなモノ)
やっていないの?」

いえ、そういう類は
一切やってません。

「赤ちゃんの写真を
見て貰いたいから
【ワッツアップ】しなさいよ。
そしたらジル・キース・
ミック・ローレン・ジャッキーと
写真を共有できるわよ!」


何のメリットも
ねぇな。



とは言わず
はははと乾いた笑いを漏らす。


「あ、今、グランパが
フェイスブックの方に
昨夜の4姉妹と
赤ちゃんの素敵な写真が
沢山上げられているから
見てみろですって!
まぁ、良い写真がいっぱい!」

と言って
どんな写真が上げられているか
事細かく私に説明し始めたグラニー。

孫が生まれて嬉しいのは分かるが
この温度差にそろそろ
気付いてはくれまいか(真顔



ちなみに、もんちゃん曰く

「グラニー
出産予定日を皮切りに
毎日ローレンに催促の電話を
掛けてマシタよ☆」

との事(白目

ローレン、よく頑張った。
私はキミを誇りに思うよ。